2011年7月20日水曜日

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★森匡世先生の証言収録をしました(20110720)

2011年7月20日水曜日 13:36
2011年7月20日(火)10:00~12:00、森先生のお宅にて

国語科教員として広島女学院中高で教鞭をとられた森匡世先生の被爆証言を収録しました。山崎さんと千葉さんがカメラを回し、民谷さんが静止画撮影と記録、インタビュアーは安藤です。ちなみに、私安藤の母は、森先生の教え子です。

森先生は19才の専門部生の時、動員先の井口で被爆されました。もし、30分早く原爆が投下されていたら、間違いなく市内中心部で被爆していたということで、戦後「30分の運命」についてずっと考えてこられたそうです。

また、逃げる途中で出会った少女に「おねえちゃん、水をちょうだい」と小さなかわらけのかけらを差し出されたこと、その姿を見て「かわいそう」とも「水を持ってきてあげよう」とも思われなかったそうです。

その少女との出会いが森先生の価値観を変え、「人間とは何か」というテーマを根底に平和や戦争について考え、行動してこられました。その少女に対して何も思わなかった自分。何かしようとしなかった自分。戦争はいかに人間を非人間的にするか、ということを強くおっしゃっていました。

人を殺すということに「正義」なんてない。戦争が戦争を生み、負の連鎖が続くだけ。だから各国のリーダーが武力ではなく対話で解決するように努め、それぞれの国・民族の文化を尊重し合える世界になるのが理想だとおっしゃっていました。そのためには、まず「知る」ことから始め、知って得たエネルギーから行動することが大切。まずは「知る」こと!と繰り返しおっしゃっていました。



森先生は、広島女学院での平和教育の草分け的存在でもあります。戦後、ご自分の被爆体験を生徒に話しても、なかなか理解してもらえなかったので、同時代の平和問題として、ベトナム戦争のことを取り上げられたそうです。

しかし、当時はそれさえもなかなか理解してもらえず、保護者からの抗議も受けたとのこと。それでもベトナム戦争のことを教え続けた森先生の声を真摯に受け止めた生徒たちは、「今」起きている出来事を知ることで現実味を感じ、戦争の愚かさ悲惨さを痛感し、ホワイトハウスに手紙を送ろうとしたそうです。

森先生は、当時の「朝日グラフ」という雑誌を引っ張り出して来られ、「ベトナム戦争ではこんな酷いことが起こっていたのよ」とソンミ村虐殺事件の特集記事を見せてくださいました。





「立っているものは皆殺せ」を合い言葉に、ソンミ村でアメリカ兵が住民を殺し、得意げな表情を浮かべている写真を見て、戦争がいかに人間を非人間的にするか、ということを考えさせられました。

これは日本がアジアで犯した過ちにも言えることだと思います。日本はアジアで犯した過ちをしっかり目を開いて知り、受け止め、謝罪することから、アメリカは原爆によって被爆された方々一人一人の体験を知り、受け止め、嫌悪感を感じることから、平和へ一歩一歩近づくのではないか。そのためにはまず、世界で起きたこと、自分と国が犯した過ち、全人類が犯した過ちを知り、見つめ直すことが一番大切だとおっしゃっていました。

平和というものはそれぞれの日常の中にある。その平和をもう二度と奪われてはいけない、とも語られました。

直接被爆体験をしていない私達が後世に原爆のことを語り継ぐことに対して、直接体験してなくても「追体験」できるから被爆者一人一人の体験を「追体験」し、自分のものにしてから語り継いで欲しい。とおっしゃっていました。

被爆者の方が存在しない世の中が来ることは「継承」という面から考えると、不安なことですが、これからは私達が人類の犯した過ちを語り続ける伝承者であり続ければならないと、誓いを新たにした証言集録でした。(安藤)