2011年6月3日(金)
広島女学院大学(牛田)にある資料館へ、写真家の粟根靖雄さんと出かけました。、『平和を祈る人たちへ』寄稿者の被爆当時の顔写真を、資料館収蔵の卒業アルバムから転写するためです。いつもながら、緑の美しい女学院大学キャンパスの空気は、心を癒してくれます。深窓の令嬢がショパンでも弾いていそうなこの洋館が資料館です。
必要な卒業アルバムは、資料館職員の西原さんがあらかじめ準備しておいてくださいました。
このたびの取材で、大学の資料館があったことは、たいへん幸いでした。卒業生のほとんどの卒業アルバムが原爆で焼失している中、貴重な卒業アルバムの多くを保管・整理してくださっていたのです。「文書を保管すると者」という、保守的な意味でのアーキビストの努力の賜です。
私たちは、従来のアーキビストの力を借りながら、ウェブ時代の新たなアーカイブ理論の扉を開こうとしているのです。アーカイブの世界にパラダイム転換をもたらすだけの力ある仕事をしたいと思います。
調査する上で特に困難を極めたのは、高等女学校51回生~55回生の集合写真(身長順!)から名前と本人を一致させる作業でした。
最初は同窓会で聞き取りをしていましたが、最終的にはすべての方にすべての集合写真のコピーをお送りして、ご自分と友人の顔写真に名前を書いて返送していただくことにしました。
その結果わかった方の名前を付せんに記してアルバムに貼り付けていき、それを粟根さんに撮影してもらいます。根気よくこの作業を手伝ってくださったのは、粟根さんのマネージャーの木本さんです。
先日のバプテスト教会取材に続いて一緒にお仕事してくださった木本さんから、うれしいメールをいただいていますので、ご本人の許可を得て、転載いたします。
「・・・私は広島に生まれ育ちながらも、やはりこのように被爆者の方々やアーカイブの活動に直接通じる機会もなく、自分がいかに今まで無知であったかという事を痛感しました。それと同時に、前回や今日の事を含め、私も粟根のマネージャーとしてこのご縁ある貴重な機会に携わらせて頂く事に感謝しています。・・・・」
(矢野一郎)